イタンジ社長 伊藤嘉盛のブログ

ITを使って不動産業界にイノベーションを生むイタンジ株式会社の社長ブログ

先行者メリット、後発者メリット

IT業界において先行者の優位は、ネットワーク外部性によってもたらされると考えられている。

例えば、LINEのようにコミュニケーションプラットフォームが構築され、1億人のユーザーを集まると、LINEで連絡を取ることが多くのユーザーにとって一番便利になり、他のツールが使われなくなる。一般的には、先行者によって一度ネットワークが構築されれば、後発者が参入することは困難だとされている。また、ネットワーク外部性が働かなくても、一番乗りで市場に参入して、後発者が追い付けずに、そのまま市場が拡大して先行者がナンバーワン企業で有り続けるケースも多くある。

 

ところが、事業環境によっては先行者メリットが確保されず、後発者の方が有利になるケースがある。技術進歩と市場拡大の速さがポイントとなる。

例えば、ウォークマンのように市場拡大のテンポが速く、技術進歩が遅い場合は先行者メリットは極めて高い。ソニーは商品投入当初とほとんど変わらない製品を10年以上も売り続けることができた。

 

では、不動産IT業界の場合はどうだろうか。不動産業務システムに関していえば、技術進歩が速く、市場拡大が遅いパターンだと考えられる。5年前までは技術進歩は遅かったが、クラウドSNSスマートフォンなどの登場によって技術進歩のテンポが速くなっている。この場合、技術の変化が速いため、先行者の製品は陳腐化する。一方、後発者はより安い開発コストで製品を投入できるため有利になる。

しかし、後発者が投入した製品もすぐに陳腐化するため、優位性を保つことが難しい。一度は勝つことができても、勝ち続けることが難しい市場といういことだ。競争に勝ち続けるためには、技術進歩の速さに対応できる優れた開発力とそれを支える資金力が必要となる。

 

ここからの示唆は、不動産IT会社が成功する、あるいは生き残るためには

①技術を中心とした強みの構築、

販管費のかかる飛込み営業ではなくプル型での顧客獲得、

システム開発の投資を続けるための高い粗利益率、が条件になるということだ。