イタンジ社長 伊藤嘉盛のブログ

ITを使って不動産業界にイノベーションを生むイタンジ株式会社の社長ブログ

スマホの普及と宅建業法の規制緩和で新しい不動産取引の形が生まれる

イケダハヤトさんにヘヤジンプライムを紹介していただき、Newspicksなどでも話題になっている。不動産業界がどのように変わっていくのかは注目のテーマなんだなと、改めて実感。

ヘヤジンプライムは仲介手数料が無料ということで、料金の部分にスポットが当たることが多い。だが、ヘヤジンプライムの本当の存在意義は、不動産仲介業務を自動化・システム化したことによって、今まで不動産会社を頼らないと貸し借りできなかった人が、自分の力で不動産取引をできるようになることだ。

今までユーザは物件を借りようとすると、せっかくスマホを使ってインターネット上で物件を探しても不動産店舗に呼ばれて内見をしている。個別物件の問合せをしたのに、電話で話していると、いつの間にか店舗に行って物件の紹介を受けることに話が変わっている。スパッと部屋を見せてくれない。なぜ不動産会社はわざわざユーザを店舗に呼ぶのか。

結論からいうと、不動産会社の都合だ。ユーザにも不動産会社にも、来店の必然性はない。それにも関わらず、不動産会社がユーザを店舗に呼ぶ理由は、対面のメリットを最大限活用して、成約率を上げるためだ。通常、不動産仲介の営業は以下のようなステップを踏む。

①Screening(条件と与信の確認)
ユーザの物件希望条件、物件を借りるに足る収入はあるか、今すぐ成約する顧客か、などを確認。
②Maching(物件提案)
希望条件に沿う物件を不動産業者間DBから探して、おすすめコメントなどを加えながら紹介。ライフスタイル、勤務先の駅、室内のこだわりポイントなどを引き出しつつ、ユーザの希望条件と市場にある物件をマッチングさせていく。

③Viewing(内見)
ある程度マッチングした物件を2~3件選び、実物を見学。

④Closing(商談)
どの部屋を借りるのか、ユーザに意思決定を促す。

①・②はメールと電話、③は物件現地で待ち合わせ、④も現地でやれば、来店する必要はない。ユーザにとっては直接現地に行けた方が楽なので、少なくともユーザからすると来店の必要性はかなり低い。一方、不動産会社の中には現地待ち合わせでOKな会社もあるので、来店が絶対に必要ということではない。

では、なぜ?それはユーザに来店してもらった方が、不動産会社にとって売上を増やすのに楽だからだ。通常、不動産会社が①と②のステップを省略したり電話やメールなどで非対面で行うと成約率が下がる。営業担当社は、店舗全体の数値管理をしている店長や先輩営業マンから、ユーザを店舗に呼んで対面でコミュニケーションするように指導される。店舗に呼ぶ必然性がないのに、営業成績を上げるためにはユーザを店舗に呼んだ方が効果的なので、「内見をするためには一度店舗に来てもらう決まりになってます」「大家さんの指示で、内見前に顔を合わせるように言われている」などという変な営業トークが生まれる。さらに悪質な場合、成約済み物件であるのにも関わらず紹介できると言って来店を促す。また、不動産会社内のスキル育成も、対面型の営業に最適化されている。どうすれば来店してもらえるか、来店した時にどのように接客をすればいいかを学ぶ。スキルが高くなるほど来店してもらえるようになるので、対面型営業への依存がさらに強化される。

実際のところ、ヘヤジンプライムも非対面でサービス提供してかなり苦労した。様々な工夫をすることで、非対面でも対面並のコミュニケーンができるようになってきた。イタンジの行動指針には『エンドユーザファースト』という言葉があるので、いばらの道であっても非対面コミュニケーションを選んでいる。今まで半日がかりだった部屋探しが、物件の現地に行くだけで済むので、ユーザの負担は相当に減るはずだ。

ネットには物件情報がある。みんなの手元にはスマホがある。宅建業法の規制緩和によって不動産契約の非対面化が実現する。時は近づいている。

新しい不動産取引の形が今、生まれようとしている。

新しい仲介サービスが誕生。本日11/4から、「ヘヤジンプライム」が始まります

イタンジ株式会社は、不動産仲介業の再定義を目指し、11/4から「ヘヤジンプライム」という賃貸仲介サービスを開始します。※月額700円、東京23区で運用開始

 

この「ヘヤジンプライム」は、既存のサービスとは一線を画す、“新しい”賃貸仲介サービスです。では一体、どういう部分が“新しい”のか?

まず「ヘヤジンプライム」には、3つの新しさがあります。その中でも特筆すべきは、「ヘヤジンプライム」は、“全取扱物件の仲介手数料が無料”になる、“無店舗型”の賃貸仲介サービスだという点です。

※仲介手数料無料なんて昔からあった、と思った方は是非最後まで読んで下さい

 

ヘヤジンプライムの3つの新しさ>

①ネット専業無店舗型

ヘヤジンプライムはネット専業の無店舗型の不動産会社です。通常の部屋探しは、不動産会社の店舗に訪問して営業マンと物件を探してから物件見学に行きます。それに対してヘヤジンプライムは無店舗型の不動産会社であるため、来店の必要はありません。ウェブ上のマイページを使い物件のやり取りを行い、物件見学は現地待ち合わせとなります。来店の手間を省くことによって、今まで一日がかりだった部屋探しを30分程度で終わらせることができます。

 

②全物件仲介手数料無料

ヘヤジンプライムはエンドユーザから仲介手数料を頂戴しません。通常は賃料の1ヶ月分かかる仲介手数料が無料になります。仲介手数料が無料になる不動産会社は今までもありましたが、紹介できる物件数が市場全体の30~40%まで制限されてしまうデメリットがありました。それに対してヘヤジンプライムは物件の制限がありません。どんな物件も仲介手数料無料で契約できます。

 

③仲介業務の分業化・システム化

ヘヤジンプライムは仲介業務を低コストで行うために、徹底的な業務効率化を図っています。通常の不動産会社は熟練した営業マンが経験と勘によってひとりのお客様に対してマンツーマンの営業をしています。一方、ヘヤジンプライムはヒアリング、物件紹介、物件見学、契約業務にそれぞれ専門スタッフを設けた分業体制でやっています。この分業体制を実現するために、仲介業務の見える化・システム化を図りました。その結果、通常の不動産会社に比べて1/5まで業務コストを圧縮し、一部の取引で貸主から受け取る手数料だけで収益が上がる仕組みをつくることができました。

 

■スマホがあれば、もっと楽に不動産は探せる

こんなにスマホが普及して、いつでもウェブで物件検索ができるようになっても、これまでの部屋探しでは、不動産会社へ足を運ぶことが必要でした。しかし「ヘヤジンプライム」を利用すれば、契約まで不動産会社に1度も来店することなく、時間と費用を節約しながら、住みたい部屋を探すことができます。そして、現在は対面が義務付けられている不動産取引の重要事項説明も、規制緩和の一環として、今後はネットを使ってできるようになります。そうなれば、さらに手続きの手間が省け、部屋探しや引っ越しが、人々にとってより身近なものになってくると思います。

 

■時代に合った不動産の探し方を提供したい

現在、ECの分野ではAmazonもちろん、鮮魚分野では八面六臂、印刷分野ではラクスルなど、各業界で、ネットを活用した流通構造のイノベーションが進んでいます。

 

不動産業界も、今 改めてその流通構造を捉えなおし、新たなソリューションを提供すべき時が来ていると思います。ユーザーはウェブを検索すれば自分で物件を見つけることができる時代なのに、なぜインターネットが登場する前と変わらない額の仲介手数料を負担しているのでしょうか。ユーザーは物件が見つかって問合せをしたのに、なぜ不動産店舗に出向かなければいけないのでしょうか。

不動産の流通構造や賃貸仲介業の役割も、それに合わせて変えていく時が来ているのかもしれません。ウェブを使って自分で物件を探せるユーザーは不動産店舗に行かず、仲介手数料無料で契約できるサービスがあってもいいのではないでしょうか。もちろんこれまで通り、仲介手数料を支払ったうえで、店舗での対面コミュニケーションを望むユーザーもいると思います。僕たちが新しいサービスを提供することで、部屋探しをするユーザーの選択肢が増えれば良いと思っています。

 

イタンジでは、この「ヘヤジンプライム」というサービスを通して、一人一人により良い住まいを提供すること、そして、一人でも多くの人の「適所適住」を叶えることを、最大のミッションとしています。私たちは、今の不動産流通の構造を変え、ユーザーの「適所適住」を実現するための一歩となれば幸いです。

圧倒的に目線の高い理念は、心揺さぶるUXを創造する

最近、引っ越した家がとても不便な場所にあり、買い物難民になっている。そのためアマゾンを利用する頻度がとても高くなった。アマゾンは本当にすごい。
生活に必要なものはすべて揃っている。昼に買ったものが、夜届く。配送手数料も無料。
昨日、カード決済でトラブルが発生して、カスタマーセンターに問合せたところ、これまた素晴らしい対応だった。
なぜここまできめ細やかなサービスが実現できるのだろう?僕は、カスタマーセンターから届くメールにそのヒントを見つけた。メールのフッターにこんな言葉が書いてあった。

「Amazon.co.jp は、お客様からのご意見により、地球上で最もお客様を大切にする会社を目指しています。」

「地球上で最も」というフレーズに、はっとした。「より」ではなく「地球上で最も」という言葉を選んだことによる、その企業へ与えるインパクトはとてつもなく大きい。「世界一」でもなく「宇宙一」でもない。実現可能な範囲で最もストレッチした目標には「地球上で最も」という言葉がぴったりだ。イタンジも来月からC向けのサービスを新たに立ち上げる。betterなサービスではなく、狂気的なほど細部までこだわり、地球上で最も素晴らしいUXを実現したい。

物件数が多すぎて選べない時代の物件の探し方について

「今ある物件検索の仕方で、ユーザーは本当に欲しい情報を得られているのだろうか?」

これは僕が、常日頃から抱いている疑問だ。そしてその答えは、NOだと思う。少なくとも僕自身は、そう思っている。だから今回は、近い将来に流行るであろう、新しい物件検索の方法について考えてみた。結論を先に言うと、キュレーションとパーソナライズがよさそうだ、という話です。

***

たとえばここに、「港区」への引っ越しを考えているAさんがいるとする。彼は仕事の都合で、2か月後には大阪から東京へ引っ越さなければならない。しかしAさんは関西生まれの関西育ちなので、東京に住むのは初めてだ。ただ会社の所在地が「港区」だったので、何となく「港区」で部屋を探そうと思っている。

そこでまずAさんは、とある賃貸ポータルサイトで、「港区」の物件を検索してみた。すると出てきたのは、「港区」にある約1万5000件の賃貸物件。しかもどれも似たような外観で、似たような条件の部屋ばかり。それが延々と一覧で表示されているので、Aさんは画面を見つめたまま途方に暮れてしまった……。  

***

この結果には、Aさんでなくても疲れ果ててしまうだろう。約1万5000件の中から、自分が本当に住みたい部屋を見つけるのは至難の業だ。量が多すぎて、どの物件が良いのか見当もつかない。物件探しにどれだけの時間と労力を費やせば良いのかと、一瞬 気が遠くなってしまう。

この場合Aさんが知りたいのは、港区にある物件の「数」ではく、港区にある「オススメ物件」の情報だ。Aさんは、なにも1万5000件すべての情報を見たいわけではない。港区にある物件の中で、自分が住みたいと思える物件を、早く、正確に知りたくて、賃貸ポータルサイトを利用したはずだ。

例えば、HEYAZINEでは、「港区」で物件検索をすると、まずは「港区に住むならこの3エリア(=麻布/青山/赤坂)」ということをユーザーに提案している。これは厳選したオススメのエリアを提示することで、少しでもユーザーが、住みたい場所・住みたい物件に近づけるようにと考えて掲載しているものだ。つまり本当にユーザーのことを考えるのであれば、

◆「港区/1K/8万円以内のオススメ物件」10選
◆「港区/1LDK/徒歩5分以内のオススメ物件」10選

というように、厳選された物件情報のまとめ=「キュレーション」が必要だと思う。一覧表示で闇雲に物件を見せるのではなく、まずはキュレーションした「オススメ物件」を紹介する。そしてその上で、さらに物件を検討したいと思う人には、一覧を提示する。こっちの方が断然便利だなぁと思っている。

さらに言うと、物件検索自体が時代遅れなのかもしれない。今はニュースでも何でも、ユーザーの好みに合った「オススメ」のものが、自動的に届く時代だ。だから物件検索においても、ユーザーが1度条件を指定すれば、機械学習をして、2回目からは希望の物件が自動的にユーザーに届く。そしてそれは希望の条件に合致するものだけでなく、条件からユーザーの好みを“類推”して、オススメの物件を提案するようなサービスだ。そして、クリックするたびに物件提案の精度があがっていく。条件登録や類似物件からのオススメ情報配信は既にあるが、賢くなっていく情報配信の仕組みはまだないのかなと。そんな仕組みがあればいいなと思っている。

これからは賃貸物件を、“探さなくても探せる”とか“探す前から探されている”ようになっていくような気がする。ユーザーがアクションを起こさなくても、必要な情報が自動的に入ってくるようになる。

ウェブで物件検索という行動が生まれてからもう20年近くが経とうとしている。HEYAZINEでは、“今ある”部屋探しから一歩進んで、“今はまだない”部屋探しを創造したいと思っている。

本日4/21(月)からスタート! HEYAZINE新サービス「セルフ内見」

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“一人”で気軽に内見をする。これから一緒に暮らす人と、“二人だけ”で部屋を見る。

セルフ内見って何?漫画でわかるセルフ内見の仕組み - 賢い人の部屋さがし HEYAZINE

そんな新しいサービスを考えた。 部屋探しの経験がある人なら知っていると思うが、内見には時間がかかる。まず住みたい街の「不動産屋」に行き、希望の条件を伝え、物件の紹介を受けて、内見が可能かを確認する。そして物件に足を運び、部屋を見て、説明を受け、考え、「不動産屋」に帰って悩み、迷って、「早くしないと明日には埋まる可能性がありますよ」と急かされて……。現状の「内見」は、こうして一つの物件を見るのにも、手間と時間がかかり、さらに複数の物件を回るとなると、それこそせっかくの休みを、1日「不動産屋と物件めぐり」に費やすことになる。

だからHEYAZINEは、「不動産屋」に行かなくても “ユーザーだけで内見”ができる仕組みをつくった。それが「セルフ内見」だ。HEYAZINEを利用して「セルフ内見」をすれば、

①物件めぐりに割く時間を短縮でき、「不動産屋」の視線や意見を気にすることなく、
②自分の(自分たちの)ペースでゆっくりと部屋を見ることができ、
③さらには「セルフ内見特典」(=初期費用の割引など)を受けられる場合もある。

そして「セルフ内見」のフローは、驚くほどシンプルで簡単だ。対象物件を「セルフ内見」したいと思ったら、

①申込フォームで連絡先情報などの必要事項を入力し、本人確認書類を添付する
②すると申込確認メールが届き、その後 管理会社から内見方法の連絡が来て、内見日時の調整をする
③そして内見日時が確定したら、“ユーザーだけ”でセルフ内見に出発する

例えばデパートやセレクトショップでも、店員に声をかけられたい人もいれば、一人で見たい人もいる。これは部屋探しでも同じだと思う。しかし部屋探しの場合、「不動産屋」に案内してもらうことはできても、“一人でゆっくりと見たい”というニーズに答えるサービスはなかった。

だから「急かされることなく、一人でゆっくりと内見がしたい」「貴重な休日を、一日物件めぐりに費やしたくない」。そんなユーザーの声に答えるためにも、このサービスをつくろうと思った。そのほかにも女性の意見として挙がった、「男性営業マンと密室空間に入るのが苦手」という悩みも、この「セルフ内見」を利用すれば解決できる。また夫婦やカップルで内見をすれば、その場で物件の感想を本音で言い合えるので、より充実した内見になるだろう。

思えばスーパーにもガソリンスタンドにも、「セルフレジ」や「セルフガソリンスタンド」が存在する。だから部屋探しにも、「セルフ内見」というサービスをつくった。このサービスは、ユーザーの部屋探しに対する意識と行動を変えるはずだ。それは「ただ案内された部屋を何となく見る」ことから、「住みたい部屋を“自分”で探して“自分”で見に行く」というふうに、部屋探しを能動的で楽しいものに変えていく。こうした「セルフ内見」という方法が、新しい部屋探しのスタンダードになってほしいと思っている。

□「セルフ内見」誕生の秘密

「バイトをして、貯金をしてから出直します……」 こうして顔を曇らせ、帰っていった人をたくさん見てきた。それは学生や、社会人になりたての若い人に多かった。彼・彼女たちは、新しい部屋での生活を楽しみにしていたのに、「初期費用が高い」ということだけで、その部屋に住むことを諦めなければならなかった。

これは僕が、「仲介会社」を経営していたときに何度も体験したエピソードだ。そしてこの経験が、HEYAZINEをつくろうと思った経緯と、その後の「セルフ内見」誕生にもつながっている。

「仲介会社」を経営していた時の僕は、常に「自分は“仲介業者”として、本当にユーザーが求める物件を提供できているのか?」という疑問を持っていた。というのも、「バイトをして、貯金をしてから出直します」という人達に出会うたびに、僕が初期費用を安くしていれば、彼・彼女たちは希望の部屋に住めていたのに……という思いがあったからだ。

仲介会社の売り上げは、単純に言うと、入居者からもらう仲介手数料だ。だから「初期費用が高いから」と言われても、むやみに仲介手数料を下げるわけにはいかない。心が痛むからといって、そのたびに仲介手数料を下げていては、売り上げが伸びない。ビジネスとして成立しない。そんなジレンマを抱えていた。

一方で「仲介会社」は、入居者獲得のために、たくさんの広告費をかけている。例えば1つの物件に、広告費6万円をかけているのに、契約をした入居者からもらえる仲介手数料は10万円…という場合がある。それはつまり、売上の半分以上が広告費として消え、思うような利益を上げられないことを意味する。だから管理会社に連絡をして、別途「広告料を下さい」。そういう交渉をすることもある。こうして売り上げのためだけにユーザーや管理会社に働きかけていると、だんだんと自分自身(=仲介会社)の存在意義について、疑問を持つようになった。

実際に、ユーザーが求める物件と、仲介会社が案内したい物件は、真逆のことが多い。なぜなら決まりにくい物件ほど、貸主や管理会社からは広告料がたくさんもらえるから。そしてその広告料は、仲介会社の売上・利益になる。だから仲介会社はなるべく広告料が高い物件を案内しようとするが、広告料が高い(=決まりにくい)物件というのは、ユーザーが手放しで「住みたい!」と思える物件でないことが多い。このように、本当はユーザーの代理人として機能しなければならない仲介会社が、ユーザーの方向を向いてないという状態になっている。こうした矛盾や、不動産業界の物件流通構造を変えるために、僕は仲介会社を利用しなくても、部屋探しができるHEYAZINEをつくった。

そしてさらに、HEYAZINEを運営していく中で気づいたことがある。「管理会社」が、HEYAZINEに物件を載せたくても載せられないというケースが発生したのだ。それはユーザーから直接 管理会社に問い合わせがきた場合、管理会社側に対応できる人員がいない、という理由からだった。

確かに管理会社の役割は、本来 物件の「管理」をすることで、入居者に「物件案内」をすることではない。だから「管理会社」では、「案内」のための人員を確保できない場合がある。そのほかにも、「管理会社自体は新宿にあるが、物件は埼玉にある」というようなケースも少なくない。だから管理会社が物件案内をすることが難しく、ユーザー対応が十分にできないという問題を抱えていたのだ。僕はこの問題に直面して、仲介会社が管理会社に提供していた、「物件案内」(=内見)という価値の大きさに気付いた。

しかし同時に、この「物件案内」(=内見)という部分さえ乗り越えられれば、これまで掲載したくてもできなかった管理会社が、HEYAZINEを利用することができる。つまりHEYAZINEが、仲介会社の代わりに、管理会社とユーザーに対する「物件案内」(=内見)の機能を提供する。そうすることで、仲介会社を経由せず、ユーザーを適所適住へ導く。そういう新たなサービスが提供できるはずだと考えた。

そして誕生したのが、この「セルフ内見」だ。これは僕自身の経験と、仲介会社を経由しない賃貸ポータルサイト・HEYAZINEだからこそできたサービスだと思っている。
対応物件数はまだ少ないけど、みなさんの賛同を得ながらサービスを拡充していきたいので、ぜひ応援のほどお願いします。

ITで物件流通を効率化し、ユーザーの適所適住を実現する。その大きな第一歩が、今日から始まった。

イタンジ社長になるまで <大学時代編>

22歳で1000万。
これは貯金額ではなく、当時の僕の借金額だ。
8年前。僕は借金返済のため、サラリーマン生活を余儀なくされた。

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※写真は大学の時の自分

借金の理由は、酒・ギャンブルというような破天荒なものではなく、大学時代の起業が原因だった。当時は「ホリエモン」をはじめ、ベンチャー企業の社長が台頭していた時代。僕はそれまで没頭していたバンド活動に区切りをつけ、「これからはビジネスの世界でやったるぜ!」と、仲間同士で起業をした。

もともと、仲間とコンビニでたむろしながら、「いつかビッグになりてぇなぁ」。そんなノリが好きだった。だから起業も、勢い余って2度も挑戦。1度目は今でいうスマ婚ビジネスを画策し、2度目はバーの出店を計画。これらのビジネスを成功させて、学生起業家として「ビッグ」になる予定だった。

ところが……。やはりそう簡単に「ビッグ」にはなれなかった。スマ婚ビジネスは志半ばで頓挫し、バーは店舗を借りたところでビビッて撤退、しまいには株式運用で大失敗。結果、僕には1000万の借金と、危機感だけが残った。

そして「このままじゃマズイ…! 借金がぁぁぁ!!」とのた打ち回りながら選んだ道が、「就職」だった。僕は借金がもたらす危機感から少しでも解放されるために、満身創痍で就職活動に邁進。その甲斐あって、大手「不動産管理会社」に就職を決めた。

一方でこのとき、僕は自分が「不動産」に関わることに、不思議な縁を感じていた。なぜなら就職活動では、商社や金融、マスコミから下着メーカーまで、あらゆる業種の試験を受けていた。しかし内定が出たのは、決まって「不動産」関係の会社ばかり……。こうして僕は、「不動産」のことなんて眼中になかった日々から一転、実は「不動産」にまみれていた自分の半生を思い出すことになった。

というのも、僕の父は埼玉県で不動産会社を経営し、母はその会社の経理を担当している。そのため幼いころから、暮らしの中には「不動産」があふれていた。たとえば夕食時に飛び交っていた、「ツボ」「へーべー」「カリイレ」といった言葉。こうした専門用語は、学ぶよりも先に、耳で聞いて理解をしていた。

そのほかにも、思い出はたくさんある。保育園の帰り道、父に連れられて行った建築現場では、廃材を積み木にして日が暮れるまで遊んだ。バンド活動に熱中していた10代の頃だって、練習場所は決まって“建築資材置き場”だった。こうして就職を機に人生をふり返ると、自分の過去と未来が、一気に「不動産」を軸につながった気がした。 そして2007年4月、僕は社会人になった。

ただし、1000万の借金を抱えて。

賃貸物件の直販型サイトHEYAZINEを使うメリット

HEYAZINEは、「仲介会社」を経由しないことで、「ユーザー」と「管理会社」が「直接」つながる仕組みをつくり上げた。

◆通常の流れ :貸主 → 管理会社 → 仲介会社 →「一般的な賃貸ポータルサイト」→ ユーザー
◆HEYAZINE :貸主・管理会社 →「HEYAZINE」→ ユーザー

そしてこの仕組みにより、

ユーザーは

①正確で詳しい情報が素早く手に入る
②貸主(=オーナーまたは大家さん)との交渉が早い
③契約から入居までの手続きがスムーズで、入居後のサポートも手厚い
④初期費用が安くなる場合がある というメリットを手にすることができる。

今回はそのメリットの中でも、④初期費用が安くなる場合がある、という点について話しておきたい。

 

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□仲介手数料無料の3パーン

HEYAZINEを利用すると、「仲介手数料」が無料になる場合がある。これはどういうことかというと、一般的に仲介手数料が無料になるパターンは3つあって、

①ユーザーが物件を「貸主」から借りた場合 →物件の所有者から直接部屋を借りているので、ユーザーは誰にも仲介手数料を払う必要がない

②「仲介会社」を経由せず、「管理会社」から借りた場合 →管理会社は貸主から手数料をもらうので、基本的にユーザーは仲介手数料不要

③「仲介会社」を通して部屋を探すが、「仲介会社」が仲介手数料を無料にする場合 →貸主や管理会社から別途「広告料」をもらうので、ユーザーから仲介手数料をもらわなくても利益が出る

HEYAZINEは、①と②のパターンに該当する。例外がある場合もあるが、「仲介会社」を経由せず「貸主」や「管理会社」と直接やりとりをすれば、仲介手数料は無料になる場合が多い。そしてさらに、礼金0やフリーレントなどの特典がついてくる場合もある。これは「管理会社」とやりとりをすることで、「貸主」がもともと「仲介会社用」にと準備していた「広告料」を使う必要がなくなり、その分をユーザーに還元することができるからだ。

多くの人が、ATM手数料を払いたくないと思う。だから払わなくてもいい時間帯にATMに行こうとするし、手数料のかからない銀行に口座をつくったりする。しかし引っ越しに関しては、多くの人が「仲介手数料」を払って転居する。それが、普通のことだとされているからだ。しかしHEYAZINEを利用すれば、仲介手数料や礼金が無料になる場合がある。仲介手数料は、決して安い金額ではない。だからこそ、どこで部屋を探すかが重要になってくる。

「本当は別に住みたい物件があったけど、初期費用を抑えたいから違う物件に住む」

僕はこういった不便をなくし、“引っ越しは高い”という常識を変えたい。転居にかかる費用を、“本来の適正料価格”に戻したいと思っている。

ただし仲介手数料が無料、礼金が0、フリーレント物件だからといって、それが自分の住みたい部屋だとは限らない。仲介手数料がかかったとしても、入居者が殺到する物件もある。費用を“本来の適正価格”に戻すことは必要だが、安さだけを求めていると、本当に住みたい物件を逃してしまう可能性もある。そのことは、頭の片隅に置いておいてほしい。

いずれにしても、HYAZINEで「適所適住」。 これがユーザーの常識になればいいと思っている。

□HEYAZINEのユーザビリティ

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そしてHEYAZINEは、サイトの使いやすさにもこだわっている。

一般的な賃貸ポータルサイトは、希望の物件にたどり着くまでの道のりが果てしない。住みたい物件の条件を何項目も選んだ末に、最後にポチっと検索ボタンを押す。クリックのしすぎで、腱鞘炎になりそうだ。実際に使っていてそう思った。

だからHEYAZINEでは、より使いやすく、見やすいサイトをつくろうと思った。せっかくネットで効率的に部屋を探そうと思ったのに、物件にたどりつく前に力尽きては本末転倒。物件探しは、楽しくなくては意味がない。

HEYAZINEでは、ユーザーの使いやすさ・検索しやすさを重視し、クリック数を意識的に減らしている。そのため画面上でスイスイと検索が進んでいくので、希望の物件までたどり着く時間が短縮される。そしてそのほかにも、下記のような様々な機能が充実している。

①お気に入り機能
「家」マークをクリックするだけで、見つけた物件をお気に入り登録できる。登録すれば後からその物件を見返せ、物件の一覧表示も可能。簡単に物件比較ができる。

②クイック質問機能
「ペット飼育は可能ですか?」「初期費用の目安を教えてください」など、ユーザーが聞きたいことをデフォルト設定している機能。質問を選んでクリックするだけで、管理会社にクイック質問できる。

③リクエスト機能
狙っている物件に空きが出たときだけでなく、こだわり条件に合った物件をメールで知らせてくれる機能。「敷金・礼金なし」なんて条件も選べる。

④口コミスペースの投稿
実際にその物件に住んでいた人や、内見をした人が口コミ投稿。ユーザー同士がつながり、有益な情報が得られる機能。

これらの機能を使うために、詳細な個人情報は不要。メールアドレスとパスワードを設定するだけで、簡単で便利な機能がいくつも利用できる。

使いやすさや見やすさは、HEYAZINEの基本。不動産の流通構造を根本から見直し、ユーザビリティに優れたHEYAZINEは、これからもどんどん進化していく。

そしてこれから僕たちが実現しようとしているのは、業界の常識を覆すサービスだ。キーワードは、「セルフガソリンスタンド」「セルフレジ」。

でもこれはまた、次の機会に。