イタンジ社長 伊藤嘉盛のブログ

ITを使って不動産業界にイノベーションを生むイタンジ株式会社の社長ブログ

物件数が多すぎて選べない時代の物件の探し方について

「今ある物件検索の仕方で、ユーザーは本当に欲しい情報を得られているのだろうか?」

これは僕が、常日頃から抱いている疑問だ。そしてその答えは、NOだと思う。少なくとも僕自身は、そう思っている。だから今回は、近い将来に流行るであろう、新しい物件検索の方法について考えてみた。結論を先に言うと、キュレーションとパーソナライズがよさそうだ、という話です。

***

たとえばここに、「港区」への引っ越しを考えているAさんがいるとする。彼は仕事の都合で、2か月後には大阪から東京へ引っ越さなければならない。しかしAさんは関西生まれの関西育ちなので、東京に住むのは初めてだ。ただ会社の所在地が「港区」だったので、何となく「港区」で部屋を探そうと思っている。

そこでまずAさんは、とある賃貸ポータルサイトで、「港区」の物件を検索してみた。すると出てきたのは、「港区」にある約1万5000件の賃貸物件。しかもどれも似たような外観で、似たような条件の部屋ばかり。それが延々と一覧で表示されているので、Aさんは画面を見つめたまま途方に暮れてしまった……。  

***

この結果には、Aさんでなくても疲れ果ててしまうだろう。約1万5000件の中から、自分が本当に住みたい部屋を見つけるのは至難の業だ。量が多すぎて、どの物件が良いのか見当もつかない。物件探しにどれだけの時間と労力を費やせば良いのかと、一瞬 気が遠くなってしまう。

この場合Aさんが知りたいのは、港区にある物件の「数」ではく、港区にある「オススメ物件」の情報だ。Aさんは、なにも1万5000件すべての情報を見たいわけではない。港区にある物件の中で、自分が住みたいと思える物件を、早く、正確に知りたくて、賃貸ポータルサイトを利用したはずだ。

例えば、HEYAZINEでは、「港区」で物件検索をすると、まずは「港区に住むならこの3エリア(=麻布/青山/赤坂)」ということをユーザーに提案している。これは厳選したオススメのエリアを提示することで、少しでもユーザーが、住みたい場所・住みたい物件に近づけるようにと考えて掲載しているものだ。つまり本当にユーザーのことを考えるのであれば、

◆「港区/1K/8万円以内のオススメ物件」10選
◆「港区/1LDK/徒歩5分以内のオススメ物件」10選

というように、厳選された物件情報のまとめ=「キュレーション」が必要だと思う。一覧表示で闇雲に物件を見せるのではなく、まずはキュレーションした「オススメ物件」を紹介する。そしてその上で、さらに物件を検討したいと思う人には、一覧を提示する。こっちの方が断然便利だなぁと思っている。

さらに言うと、物件検索自体が時代遅れなのかもしれない。今はニュースでも何でも、ユーザーの好みに合った「オススメ」のものが、自動的に届く時代だ。だから物件検索においても、ユーザーが1度条件を指定すれば、機械学習をして、2回目からは希望の物件が自動的にユーザーに届く。そしてそれは希望の条件に合致するものだけでなく、条件からユーザーの好みを“類推”して、オススメの物件を提案するようなサービスだ。そして、クリックするたびに物件提案の精度があがっていく。条件登録や類似物件からのオススメ情報配信は既にあるが、賢くなっていく情報配信の仕組みはまだないのかなと。そんな仕組みがあればいいなと思っている。

これからは賃貸物件を、“探さなくても探せる”とか“探す前から探されている”ようになっていくような気がする。ユーザーがアクションを起こさなくても、必要な情報が自動的に入ってくるようになる。

ウェブで物件検索という行動が生まれてからもう20年近くが経とうとしている。HEYAZINEでは、“今ある”部屋探しから一歩進んで、“今はまだない”部屋探しを創造したいと思っている。

本日4/21(月)からスタート! HEYAZINE新サービス「セルフ内見」

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“一人”で気軽に内見をする。これから一緒に暮らす人と、“二人だけ”で部屋を見る。

セルフ内見って何?漫画でわかるセルフ内見の仕組み - 賢い人の部屋さがし HEYAZINE

そんな新しいサービスを考えた。 部屋探しの経験がある人なら知っていると思うが、内見には時間がかかる。まず住みたい街の「不動産屋」に行き、希望の条件を伝え、物件の紹介を受けて、内見が可能かを確認する。そして物件に足を運び、部屋を見て、説明を受け、考え、「不動産屋」に帰って悩み、迷って、「早くしないと明日には埋まる可能性がありますよ」と急かされて……。現状の「内見」は、こうして一つの物件を見るのにも、手間と時間がかかり、さらに複数の物件を回るとなると、それこそせっかくの休みを、1日「不動産屋と物件めぐり」に費やすことになる。

だからHEYAZINEは、「不動産屋」に行かなくても “ユーザーだけで内見”ができる仕組みをつくった。それが「セルフ内見」だ。HEYAZINEを利用して「セルフ内見」をすれば、

①物件めぐりに割く時間を短縮でき、「不動産屋」の視線や意見を気にすることなく、
②自分の(自分たちの)ペースでゆっくりと部屋を見ることができ、
③さらには「セルフ内見特典」(=初期費用の割引など)を受けられる場合もある。

そして「セルフ内見」のフローは、驚くほどシンプルで簡単だ。対象物件を「セルフ内見」したいと思ったら、

①申込フォームで連絡先情報などの必要事項を入力し、本人確認書類を添付する
②すると申込確認メールが届き、その後 管理会社から内見方法の連絡が来て、内見日時の調整をする
③そして内見日時が確定したら、“ユーザーだけ”でセルフ内見に出発する

例えばデパートやセレクトショップでも、店員に声をかけられたい人もいれば、一人で見たい人もいる。これは部屋探しでも同じだと思う。しかし部屋探しの場合、「不動産屋」に案内してもらうことはできても、“一人でゆっくりと見たい”というニーズに答えるサービスはなかった。

だから「急かされることなく、一人でゆっくりと内見がしたい」「貴重な休日を、一日物件めぐりに費やしたくない」。そんなユーザーの声に答えるためにも、このサービスをつくろうと思った。そのほかにも女性の意見として挙がった、「男性営業マンと密室空間に入るのが苦手」という悩みも、この「セルフ内見」を利用すれば解決できる。また夫婦やカップルで内見をすれば、その場で物件の感想を本音で言い合えるので、より充実した内見になるだろう。

思えばスーパーにもガソリンスタンドにも、「セルフレジ」や「セルフガソリンスタンド」が存在する。だから部屋探しにも、「セルフ内見」というサービスをつくった。このサービスは、ユーザーの部屋探しに対する意識と行動を変えるはずだ。それは「ただ案内された部屋を何となく見る」ことから、「住みたい部屋を“自分”で探して“自分”で見に行く」というふうに、部屋探しを能動的で楽しいものに変えていく。こうした「セルフ内見」という方法が、新しい部屋探しのスタンダードになってほしいと思っている。

□「セルフ内見」誕生の秘密

「バイトをして、貯金をしてから出直します……」 こうして顔を曇らせ、帰っていった人をたくさん見てきた。それは学生や、社会人になりたての若い人に多かった。彼・彼女たちは、新しい部屋での生活を楽しみにしていたのに、「初期費用が高い」ということだけで、その部屋に住むことを諦めなければならなかった。

これは僕が、「仲介会社」を経営していたときに何度も体験したエピソードだ。そしてこの経験が、HEYAZINEをつくろうと思った経緯と、その後の「セルフ内見」誕生にもつながっている。

「仲介会社」を経営していた時の僕は、常に「自分は“仲介業者”として、本当にユーザーが求める物件を提供できているのか?」という疑問を持っていた。というのも、「バイトをして、貯金をしてから出直します」という人達に出会うたびに、僕が初期費用を安くしていれば、彼・彼女たちは希望の部屋に住めていたのに……という思いがあったからだ。

仲介会社の売り上げは、単純に言うと、入居者からもらう仲介手数料だ。だから「初期費用が高いから」と言われても、むやみに仲介手数料を下げるわけにはいかない。心が痛むからといって、そのたびに仲介手数料を下げていては、売り上げが伸びない。ビジネスとして成立しない。そんなジレンマを抱えていた。

一方で「仲介会社」は、入居者獲得のために、たくさんの広告費をかけている。例えば1つの物件に、広告費6万円をかけているのに、契約をした入居者からもらえる仲介手数料は10万円…という場合がある。それはつまり、売上の半分以上が広告費として消え、思うような利益を上げられないことを意味する。だから管理会社に連絡をして、別途「広告料を下さい」。そういう交渉をすることもある。こうして売り上げのためだけにユーザーや管理会社に働きかけていると、だんだんと自分自身(=仲介会社)の存在意義について、疑問を持つようになった。

実際に、ユーザーが求める物件と、仲介会社が案内したい物件は、真逆のことが多い。なぜなら決まりにくい物件ほど、貸主や管理会社からは広告料がたくさんもらえるから。そしてその広告料は、仲介会社の売上・利益になる。だから仲介会社はなるべく広告料が高い物件を案内しようとするが、広告料が高い(=決まりにくい)物件というのは、ユーザーが手放しで「住みたい!」と思える物件でないことが多い。このように、本当はユーザーの代理人として機能しなければならない仲介会社が、ユーザーの方向を向いてないという状態になっている。こうした矛盾や、不動産業界の物件流通構造を変えるために、僕は仲介会社を利用しなくても、部屋探しができるHEYAZINEをつくった。

そしてさらに、HEYAZINEを運営していく中で気づいたことがある。「管理会社」が、HEYAZINEに物件を載せたくても載せられないというケースが発生したのだ。それはユーザーから直接 管理会社に問い合わせがきた場合、管理会社側に対応できる人員がいない、という理由からだった。

確かに管理会社の役割は、本来 物件の「管理」をすることで、入居者に「物件案内」をすることではない。だから「管理会社」では、「案内」のための人員を確保できない場合がある。そのほかにも、「管理会社自体は新宿にあるが、物件は埼玉にある」というようなケースも少なくない。だから管理会社が物件案内をすることが難しく、ユーザー対応が十分にできないという問題を抱えていたのだ。僕はこの問題に直面して、仲介会社が管理会社に提供していた、「物件案内」(=内見)という価値の大きさに気付いた。

しかし同時に、この「物件案内」(=内見)という部分さえ乗り越えられれば、これまで掲載したくてもできなかった管理会社が、HEYAZINEを利用することができる。つまりHEYAZINEが、仲介会社の代わりに、管理会社とユーザーに対する「物件案内」(=内見)の機能を提供する。そうすることで、仲介会社を経由せず、ユーザーを適所適住へ導く。そういう新たなサービスが提供できるはずだと考えた。

そして誕生したのが、この「セルフ内見」だ。これは僕自身の経験と、仲介会社を経由しない賃貸ポータルサイト・HEYAZINEだからこそできたサービスだと思っている。
対応物件数はまだ少ないけど、みなさんの賛同を得ながらサービスを拡充していきたいので、ぜひ応援のほどお願いします。

ITで物件流通を効率化し、ユーザーの適所適住を実現する。その大きな第一歩が、今日から始まった。

イタンジ社長になるまで <大学時代編>

22歳で1000万。
これは貯金額ではなく、当時の僕の借金額だ。
8年前。僕は借金返済のため、サラリーマン生活を余儀なくされた。

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※写真は大学の時の自分

借金の理由は、酒・ギャンブルというような破天荒なものではなく、大学時代の起業が原因だった。当時は「ホリエモン」をはじめ、ベンチャー企業の社長が台頭していた時代。僕はそれまで没頭していたバンド活動に区切りをつけ、「これからはビジネスの世界でやったるぜ!」と、仲間同士で起業をした。

もともと、仲間とコンビニでたむろしながら、「いつかビッグになりてぇなぁ」。そんなノリが好きだった。だから起業も、勢い余って2度も挑戦。1度目は今でいうスマ婚ビジネスを画策し、2度目はバーの出店を計画。これらのビジネスを成功させて、学生起業家として「ビッグ」になる予定だった。

ところが……。やはりそう簡単に「ビッグ」にはなれなかった。スマ婚ビジネスは志半ばで頓挫し、バーは店舗を借りたところでビビッて撤退、しまいには株式運用で大失敗。結果、僕には1000万の借金と、危機感だけが残った。

そして「このままじゃマズイ…! 借金がぁぁぁ!!」とのた打ち回りながら選んだ道が、「就職」だった。僕は借金がもたらす危機感から少しでも解放されるために、満身創痍で就職活動に邁進。その甲斐あって、大手「不動産管理会社」に就職を決めた。

一方でこのとき、僕は自分が「不動産」に関わることに、不思議な縁を感じていた。なぜなら就職活動では、商社や金融、マスコミから下着メーカーまで、あらゆる業種の試験を受けていた。しかし内定が出たのは、決まって「不動産」関係の会社ばかり……。こうして僕は、「不動産」のことなんて眼中になかった日々から一転、実は「不動産」にまみれていた自分の半生を思い出すことになった。

というのも、僕の父は埼玉県で不動産会社を経営し、母はその会社の経理を担当している。そのため幼いころから、暮らしの中には「不動産」があふれていた。たとえば夕食時に飛び交っていた、「ツボ」「へーべー」「カリイレ」といった言葉。こうした専門用語は、学ぶよりも先に、耳で聞いて理解をしていた。

そのほかにも、思い出はたくさんある。保育園の帰り道、父に連れられて行った建築現場では、廃材を積み木にして日が暮れるまで遊んだ。バンド活動に熱中していた10代の頃だって、練習場所は決まって“建築資材置き場”だった。こうして就職を機に人生をふり返ると、自分の過去と未来が、一気に「不動産」を軸につながった気がした。 そして2007年4月、僕は社会人になった。

ただし、1000万の借金を抱えて。

賃貸物件の直販型サイトHEYAZINEを使うメリット

HEYAZINEは、「仲介会社」を経由しないことで、「ユーザー」と「管理会社」が「直接」つながる仕組みをつくり上げた。

◆通常の流れ :貸主 → 管理会社 → 仲介会社 →「一般的な賃貸ポータルサイト」→ ユーザー
◆HEYAZINE :貸主・管理会社 →「HEYAZINE」→ ユーザー

そしてこの仕組みにより、

ユーザーは

①正確で詳しい情報が素早く手に入る
②貸主(=オーナーまたは大家さん)との交渉が早い
③契約から入居までの手続きがスムーズで、入居後のサポートも手厚い
④初期費用が安くなる場合がある というメリットを手にすることができる。

今回はそのメリットの中でも、④初期費用が安くなる場合がある、という点について話しておきたい。

 

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□仲介手数料無料の3パーン

HEYAZINEを利用すると、「仲介手数料」が無料になる場合がある。これはどういうことかというと、一般的に仲介手数料が無料になるパターンは3つあって、

①ユーザーが物件を「貸主」から借りた場合 →物件の所有者から直接部屋を借りているので、ユーザーは誰にも仲介手数料を払う必要がない

②「仲介会社」を経由せず、「管理会社」から借りた場合 →管理会社は貸主から手数料をもらうので、基本的にユーザーは仲介手数料不要

③「仲介会社」を通して部屋を探すが、「仲介会社」が仲介手数料を無料にする場合 →貸主や管理会社から別途「広告料」をもらうので、ユーザーから仲介手数料をもらわなくても利益が出る

HEYAZINEは、①と②のパターンに該当する。例外がある場合もあるが、「仲介会社」を経由せず「貸主」や「管理会社」と直接やりとりをすれば、仲介手数料は無料になる場合が多い。そしてさらに、礼金0やフリーレントなどの特典がついてくる場合もある。これは「管理会社」とやりとりをすることで、「貸主」がもともと「仲介会社用」にと準備していた「広告料」を使う必要がなくなり、その分をユーザーに還元することができるからだ。

多くの人が、ATM手数料を払いたくないと思う。だから払わなくてもいい時間帯にATMに行こうとするし、手数料のかからない銀行に口座をつくったりする。しかし引っ越しに関しては、多くの人が「仲介手数料」を払って転居する。それが、普通のことだとされているからだ。しかしHEYAZINEを利用すれば、仲介手数料や礼金が無料になる場合がある。仲介手数料は、決して安い金額ではない。だからこそ、どこで部屋を探すかが重要になってくる。

「本当は別に住みたい物件があったけど、初期費用を抑えたいから違う物件に住む」

僕はこういった不便をなくし、“引っ越しは高い”という常識を変えたい。転居にかかる費用を、“本来の適正料価格”に戻したいと思っている。

ただし仲介手数料が無料、礼金が0、フリーレント物件だからといって、それが自分の住みたい部屋だとは限らない。仲介手数料がかかったとしても、入居者が殺到する物件もある。費用を“本来の適正価格”に戻すことは必要だが、安さだけを求めていると、本当に住みたい物件を逃してしまう可能性もある。そのことは、頭の片隅に置いておいてほしい。

いずれにしても、HYAZINEで「適所適住」。 これがユーザーの常識になればいいと思っている。

□HEYAZINEのユーザビリティ

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そしてHEYAZINEは、サイトの使いやすさにもこだわっている。

一般的な賃貸ポータルサイトは、希望の物件にたどり着くまでの道のりが果てしない。住みたい物件の条件を何項目も選んだ末に、最後にポチっと検索ボタンを押す。クリックのしすぎで、腱鞘炎になりそうだ。実際に使っていてそう思った。

だからHEYAZINEでは、より使いやすく、見やすいサイトをつくろうと思った。せっかくネットで効率的に部屋を探そうと思ったのに、物件にたどりつく前に力尽きては本末転倒。物件探しは、楽しくなくては意味がない。

HEYAZINEでは、ユーザーの使いやすさ・検索しやすさを重視し、クリック数を意識的に減らしている。そのため画面上でスイスイと検索が進んでいくので、希望の物件までたどり着く時間が短縮される。そしてそのほかにも、下記のような様々な機能が充実している。

①お気に入り機能
「家」マークをクリックするだけで、見つけた物件をお気に入り登録できる。登録すれば後からその物件を見返せ、物件の一覧表示も可能。簡単に物件比較ができる。

②クイック質問機能
「ペット飼育は可能ですか?」「初期費用の目安を教えてください」など、ユーザーが聞きたいことをデフォルト設定している機能。質問を選んでクリックするだけで、管理会社にクイック質問できる。

③リクエスト機能
狙っている物件に空きが出たときだけでなく、こだわり条件に合った物件をメールで知らせてくれる機能。「敷金・礼金なし」なんて条件も選べる。

④口コミスペースの投稿
実際にその物件に住んでいた人や、内見をした人が口コミ投稿。ユーザー同士がつながり、有益な情報が得られる機能。

これらの機能を使うために、詳細な個人情報は不要。メールアドレスとパスワードを設定するだけで、簡単で便利な機能がいくつも利用できる。

使いやすさや見やすさは、HEYAZINEの基本。不動産の流通構造を根本から見直し、ユーザビリティに優れたHEYAZINEは、これからもどんどん進化していく。

そしてこれから僕たちが実現しようとしているのは、業界の常識を覆すサービスだ。キーワードは、「セルフガソリンスタンド」「セルフレジ」。

でもこれはまた、次の機会に。

HEYAZINE誕生前夜

HEYAZINEをつくる前、僕は「賃貸仲介会社」の社長だった。
この経験があったからこそ、HEYAZINEは生まれた。
今回は、なぜHEYAZINEをつくろうと思ったのか。それを話そうと思う。


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□仲介会社の日課は物件パトロール

仲介会社を経営していたとき、僕は毎日“パトロール”をしていた。市民の安全を守るためのパトロールであれば、そこに意義を見いだせていたかもしれない。でも僕が明け暮れていたのは、「不動産データベースをのぞきに行く」という“物件パトロール”だ。当時 僕は、このいわゆる物件確認業務に忙殺されていた。そして、そこに意義を見いだせずにいた。

仲介会社の仕事は、部屋を探している人に物件を紹介することだ。その中でなぜ“物件パトロール”が必要だったかというと、仲介会社は自社で物件を管理しているわけではないので、入居者に紹介する部屋を自分で探す必要がある。仲介会社は、「不動産データベース」から物件情報を得ることによって、はじめて入居者に部屋を紹介できるという仕組みになっている。黙ってじっとしていても誰も新着物件を教えてはくれないので、仲介業者は毎日、不動産業者しか見ることのできないデータベースに物件情報を取りにいく

一方で仲介会社は、賃貸ポータルサイトに物件情報を掲載している。これは仲介業者が手作業で行う場合が多く、サイトへの入力は、1件につき10分~15分。とても手間のかかる作業だ。加えて「不動産データベース」の情報は、毎日更新される。もちろん更新のお知らせが親切丁寧に自動で届くわけではないので、仲介業者は常にデータベースを監視して、物件情報に目を光らせていなければならない。つまり物件情報を「最新」にしておくことは、涙と汗が止まらなくなるくらいの努力と根性、そして膨大な時間が必要だった。

□進むも地獄 退くも地獄

入居者を獲得するために、データベースから良い物件を探し出す。そして良い物件ほど、入居者が決まるのは早い。だからすぐにまた新しい物件を掲載しないと、ユーザからの問い合わせはこなくなる。そしてユーザからのレスポンスがほしいから、掲載物件の量を増やす。すると入力作業とメンテナンスの手間が増えるしだいに、手が回らなくなる。情報が古くなる。ユーザからの反応が途絶える。そして最新の優良物件を求めて、また“物件パトロール”と入力作業を繰り返す……。まさに「進むも地獄 退くも地獄」状態の、“物件確認”作業。仲介業者は、常にこの作業に追われている。

そしてこの悪循環からは、こんな弊害が生まれる。ある日ユーザから問い合わせが入る。「ポータルサイトに載っていたこの物件、まだ空いていますか?」と。しかしこの物件は、すでに入居者が決まっている。なぜならメンテナンスができていない古い情報が、そのままサイトに残っていただけだから。でもせっかく連絡をくれたユーザに、「ありません」と答えるだけでは芸がない。なぜなら僕は仲介業者で、ユーザに部屋を紹介するのが仕事だから。最初に希望していた物件がなくても、他の物件を紹介しなければ機会損失になる。結果的に“成約済み物件”に来た問合せから契約が決まったとしても、それも立派な売り上げだ……。

そんなことをしているうちに、どんどん自分がすり減っていくのを感じた。

□HEYAZINE誕生

そして僕は決心した。この負の連鎖を断ち切るために、自社サイトを立ち上げることを。自社HPをつくれば、物件を紹介する項目や文章、写真の枚数を工夫して、他と差別化を図れる。同じ定型フォーマットに入力して物件紹介をするポータルサイトよりも、自社HPの方が物件を魅力的に紹介できる。

自社HPで、本当にある物件だけを、真面目に紹介していこう。そう思ってHP制作の依頼をしたのが、将積(イタンジのCTO)だった。(実は、将積にもHEYAZINE立ち上げのストーリーがある) そしてHPをつくる過程で、課題だった物件パトロール(=物件確認作業)を効率化するシステム「REcS(レックス)」が生まれた。

僕がHEYAZINEを作った理由 ~ イタンジ株式会社 取締役CTO 将積健士 - 賢い人の部屋さがし HEYAZINE

この時期に、僕は仲介事業の役割や、業界構造、物件流通の仕組みを真剣に考えた。このIT全盛の時代に、なぜか電話とFAXのやりとりが多いこの業界。物件確認などの作業コストに加え、コミュニケーションコストも異様に高い。おまけにあまりの効率の悪さに耐えかねて、大手企業から転職してきた優秀な社員が会社を去るという出来事まで起こってしまった。 そして考えていくうちに、ふと思った。「不動産流通の構造自体を変えないと、根本的な解決にはならないんじゃないか?」と。「情報の効率化を追求しただけでは、不動産業界は変わらないんじゃないか?」と。「効率的で使いやすいサイトをつくるだけでなく、不動産流通の構造自体を変えるような仕組みをつくらないと、不動産業界はいつまでたってもユーザの方を向かない。ユーザが求める物件と、紹介される物件との間にある“溝”が埋まらない。きっと今の日本には、新しい不動産流通のプラットフォームが必要なんだ」と、強く思った。

だからITで物件流通を効率化して、ユーザが欲しい情報にアクセスして、その結果、住みたい場所に住むことができる「適所適住」の世界を実現する仕組みをつくろうと思った。
それがHEYAZINEだ。

HEYAZINEをつくろうと決意してから、僕の環境も大きく変わった。2013年3月にHEYAZINEをリリースしてから、サービスの立ち上げに集中するために、5年間に渡って経営してきた仲介会社は社員に譲った。また、当時、外資系金融会社を退職して起業を考えていた千葉を口説いて、イタンジに入社してもらうことにした。2013年11月にはベンチャーキャピタルから3億円の資金調達をして、サービスの拡大に向け準備は整った。勝負はここからだ。

イタンジ、3億円の資金調達をしました - イタンジ社長 伊藤嘉盛のブログ

□不動産×IT×効率化=適所適住

「HEYAZINEで探せば、良い物件が見つかるよ」「新居を安く借りられるよ」

こんなふうに、ユーザから「探しやすさ」と「満足感」で選ばれる。僕はHEYAZINEを、そういうサイトにしたいと思っている。

たとえば僕たちがAmazonを利用するのは、別にAmazonが「無店舗販売でコストカットをしているから」でも、「巨大な倉庫で効率的に在庫管理をしているから」でもない。単純に、安くて便利だからAmazonを使う。そういうシンプルな理由だと思う。

だからHEYAZINEも、「良い物件が見つかるから」「初期費用が安くなるから」というシンプルな理由で、ユーザから選ばれるサイトにしたいと思っている。「仲介会社を経由していない」とか、「管理会社の物件を直接ユーザに紹介しているから」とか、そういう事情は、僕たちが知っていればいいことだ。

「適所適住」。これをユーザに提供するのが、HEYAZINEの役目だ。

不動産流通のイノベーション、“賃貸直販サイト”HEYAZINE

今日は私たちが運営するHEYAZINE(ヘヤジン)についてのエントリーです。
一般的な賃貸ポータルサイトと何が違うのか。また、どういうサイトなのかについて書きます。

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■不動産流通のイノベーション、“賃貸直販サイト”HEYAZINE

今回はHEYAZINEの本質を伝えるために、「不動産流通の構造」を説明しながら、その特徴について話そうと思う。とはいえ不動産流通の構造が、他の業界と比べて特別難しいわけではない。基本的には、一般的な商品流通と同じ構造をしている。だからカメラを購入予定のAさんを例にとりながら、簡単に説明していきたいと思う。

まず、ここに新しいカメラを購入予定のAさんがいるとする。
このときAさんが検討しているカメラは、

◆メーカー→卸売業者 → 小売店 → 消費者

という段階を経て、僕たちの元に届けられる。メーカーがつくったカメラを卸売業者が仕入れて、小売店に販売。そのカメラを小売店が消費者に売る、という構造だ。だから消費者のAさんは、小売店である家電量販店に行って、カメラを買おうと考えた。

それと同じで空室の賃貸物件も、

◆貸主(=メーカー)→ 管理会社(=卸売業者)→ 仲介会社(=小売店)→ ユーザー(=消費者)

という経路をたどって、僕たちの元に届く。「貸主」が持っている物件を「管理会社」が管理し、「仲介会社」が僕たちに紹介するという構造だ。だから僕たちは住みたい街の「不動産屋(=仲介会社)」に行って、空室の物件を紹介してもらう。

しかし最近では、メーカーや卸売業者がネットで商品を販売する、「ネット直販」なども広く知られるようになった。これは消費者がわざわざ小売店まで行かなくても、メーカーや卸売業者から、商品を直接ネットで注文できるという仕組みだ。しかも「小売店」を経由していないので、その分コストを削減でき、商品を安く購入できるというメリットがある。つまり「ネット直販」というスタイルを選べば、Aさんは家電量販店に行くよりも、安く効率的にカメラを入手することができる。

HEYAZINEは、不動産流通の仕組みの中で、まさにこの「ネット直販」を実現したサイトだ。「仲介会社」を経由せず、「貸主・管理会社」からの「直販物件」だけをユーザーに提供している。

■HEYAZINEの本質

Aさんはある日、カメラを買いに家電量販店に出かけた。買うからにはより良いものが欲しかったので、店を数件まわって検討した。しかしどの店に行っても、置いてある商品はほとんど同じ。どれを買えば良いのかわからなくなってしまい、結局その日はカメラを買わずに帰宅した。

***

この「置いてある商品がほとんど同じ」という状態は、どの家電量販店も、同じメーカーの売れ筋商品を、同じような経路(各々が取引する卸売業者)を通して仕入れているから起こる。

そしてこの構造は、不動産業界にも当てはまる。不動産業界では、複数の「仲介会社」が競合しながら、“同じ”空室物件をユーザーに紹介している。入居者が「仲介会社」に行って物件を紹介してもらうと、「今申し込まないと、すぐに埋まっちゃいますよ」と言われるのはこのためだ。カメラを探し回ったAさんのように、部屋を探すときも、「複数の仲介会社をまわっても同じ物件を紹介される」という現象が起きてしまう。

また賃貸ポータルサイトにも、同様のことが言える。たとえば一般的な賃貸ポータルサイトは、

◆貸主→ 管理会社 → 仲介会社 →「賃貸ポータルサイト」→ ユーザー

という構造になっている。これは一般的な賃貸ポータルサイトが、複数の「仲介会社」の物件情報を集めて掲載していることを意味している。しかもここで問題なのは、「仲介会社」は“同じ”物件を他社と競合しながらユーザーへ紹介しているので、ポータルサイト内には“重複物件”が発生してしまうということだ。つまり一見物件数が多いように見えても、その中には重複物件が多数存在している。

一方HEYAZINEの構造は、

◆貸主・管理会社 →「HEYAZINE」→ ユーザー

という仕組みになっている。HEYAZINEの場合、掲載している物件の情報元は「管理会社」と「管理会社を兼ねた貸主」だ。仲介会社の「1物件×複数仲介」に対して、基本的には、管理会社は「1物件×1管理会社」の関係なので、サイト上に重複物件は殆ど存在しない。これが、HEYAZINEの仕組みと本質だ。

そして「仲介会社」を経由しないことで、正確で詳しい情報が素早く手に入ったり、契約から入居までの手続きがスムーズになったりする。また初期費用が安くなる場合もあるので、入居者に多くのメリットをもたらすサービスを提供することができる。

つまり賃貸ポータルサイトには、2つのタイプが存在する。1つは、物件の「数」で勝負しているサイト。もう1つは、数ではなく「質」で勝負しているサイト。HEYAZINEは、もちろん後者だ。

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後日。理想のカメラを探し回ったAさんは、結局直販サイトを使って、安いカメラを効率的に入手した。部屋探しでも、Aさんのように「直販」を実現できるサイトがある。それがHEYAZINEだ。

ベンチャーに入社が決まったら読むべき書籍5選

イタンジは昨年末から採用を本格的に始めて内定を順調に出しています。
内定した方から入社するまでにどんな本を読んで勉強すればよいかと聞かれることが多かったので、私が実際に推薦した書籍を紹介します。

 

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■ビジョナリー・カンパニー2(要約
ビジョナリー・カンパニーシリーズの中でも一番オススメは2です。「適切な人をバスに乗せる」「針鼠の概念」「弾み車の概念」などは経営者ブログで引用されることも多く、影響を受けている経営者は多いはずです。成果を上げるためには「必ず勝てるという確信を失ってはならない。ただし厳しく現実を直視すること」が必要とのことだが、まさにその通りです。

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

 

 

イノベーションのジレンマ
どうすればベンチャー企業が下剋上できるかを学べます。技術革新が速く、環境変化の激しい業界で生き抜くために、クリステンセンの理論は押さえておきたい。アマゾンでは、本書の続編である「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」が経営幹部の必読書になっているとのことです。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

 

イノベーションと企業家精神
原書初版が1985年にもかかわらず、今読んでもまったく違和感がないです。イノベーションを起こすことがベンチャーたる所以なので、基礎知識として読むべき一冊です。ちなみにビジョナリーカンパニーの著者ジム・コリンズもドラッカーに強い影響を受けています。

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)

 

 ■Yコンビネータ
スタートアップ企業が生まれては消えてく姿がリアルに描かれています。本書の中で語られるYコンビネータ創業者のグレハムの言葉は、顧客志向・リーンスタートアップ思考など、ベンチャーにおけるサービス開発で念頭に置くべき事項を教えてくれます。ちなみに、Yコンビネータの最大のモットーは「人が欲しがるものをつくれ」です。

Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

 

 

ジェフ・ベゾス果てなき野望
今では売上600億ドルを超えるアマゾンが零細ベンチャーだった時代から巨大企業に成長する過程が描かれています。買収相手を屈服させるために価格競争を仕掛けたり、競争相手のウォルマートから人材をごっそり引っ張ったり、ジェフ・ベゾスの経営手法の荒っぽさがうかがえます。目的達成のためには、周囲の抵抗があっても手を緩めず事を進めていくことが、時には必要だと気付かされます。

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

 


■最後に
 ベンチャーで働くことは楽しいことが多い分、苦しいことも多いと思います。自社の事業が合理的で正当性のあるサービスだとしてもクライアントやユーザから受け入れてもらえないことや、やるべきこと・やりたいことが山積みでもリソースが不足して前に進まないことなど、多くの困難が待ち受けています。でも、何か大きなことに挑戦をしているから、ベンチャーで働くのって「生きてる」感じがします。
最後になりますが、みなさんには、本日紹介した本を入社に向け心の準備をするために、また、壁にぶち当たってくじけそうな時に再び自らを奮い立たせるために読んでもらえたらと思います。