イタンジ社長 伊藤嘉盛のブログ

ITを使って不動産業界にイノベーションを生むイタンジ株式会社の社長ブログ

HEYAZINE誕生前夜

HEYAZINEをつくる前、僕は「賃貸仲介会社」の社長だった。
この経験があったからこそ、HEYAZINEは生まれた。
今回は、なぜHEYAZINEをつくろうと思ったのか。それを話そうと思う。


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□仲介会社の日課は物件パトロール

仲介会社を経営していたとき、僕は毎日“パトロール”をしていた。市民の安全を守るためのパトロールであれば、そこに意義を見いだせていたかもしれない。でも僕が明け暮れていたのは、「不動産データベースをのぞきに行く」という“物件パトロール”だ。当時 僕は、このいわゆる物件確認業務に忙殺されていた。そして、そこに意義を見いだせずにいた。

仲介会社の仕事は、部屋を探している人に物件を紹介することだ。その中でなぜ“物件パトロール”が必要だったかというと、仲介会社は自社で物件を管理しているわけではないので、入居者に紹介する部屋を自分で探す必要がある。仲介会社は、「不動産データベース」から物件情報を得ることによって、はじめて入居者に部屋を紹介できるという仕組みになっている。黙ってじっとしていても誰も新着物件を教えてはくれないので、仲介業者は毎日、不動産業者しか見ることのできないデータベースに物件情報を取りにいく

一方で仲介会社は、賃貸ポータルサイトに物件情報を掲載している。これは仲介業者が手作業で行う場合が多く、サイトへの入力は、1件につき10分~15分。とても手間のかかる作業だ。加えて「不動産データベース」の情報は、毎日更新される。もちろん更新のお知らせが親切丁寧に自動で届くわけではないので、仲介業者は常にデータベースを監視して、物件情報に目を光らせていなければならない。つまり物件情報を「最新」にしておくことは、涙と汗が止まらなくなるくらいの努力と根性、そして膨大な時間が必要だった。

□進むも地獄 退くも地獄

入居者を獲得するために、データベースから良い物件を探し出す。そして良い物件ほど、入居者が決まるのは早い。だからすぐにまた新しい物件を掲載しないと、ユーザからの問い合わせはこなくなる。そしてユーザからのレスポンスがほしいから、掲載物件の量を増やす。すると入力作業とメンテナンスの手間が増えるしだいに、手が回らなくなる。情報が古くなる。ユーザからの反応が途絶える。そして最新の優良物件を求めて、また“物件パトロール”と入力作業を繰り返す……。まさに「進むも地獄 退くも地獄」状態の、“物件確認”作業。仲介業者は、常にこの作業に追われている。

そしてこの悪循環からは、こんな弊害が生まれる。ある日ユーザから問い合わせが入る。「ポータルサイトに載っていたこの物件、まだ空いていますか?」と。しかしこの物件は、すでに入居者が決まっている。なぜならメンテナンスができていない古い情報が、そのままサイトに残っていただけだから。でもせっかく連絡をくれたユーザに、「ありません」と答えるだけでは芸がない。なぜなら僕は仲介業者で、ユーザに部屋を紹介するのが仕事だから。最初に希望していた物件がなくても、他の物件を紹介しなければ機会損失になる。結果的に“成約済み物件”に来た問合せから契約が決まったとしても、それも立派な売り上げだ……。

そんなことをしているうちに、どんどん自分がすり減っていくのを感じた。

□HEYAZINE誕生

そして僕は決心した。この負の連鎖を断ち切るために、自社サイトを立ち上げることを。自社HPをつくれば、物件を紹介する項目や文章、写真の枚数を工夫して、他と差別化を図れる。同じ定型フォーマットに入力して物件紹介をするポータルサイトよりも、自社HPの方が物件を魅力的に紹介できる。

自社HPで、本当にある物件だけを、真面目に紹介していこう。そう思ってHP制作の依頼をしたのが、将積(イタンジのCTO)だった。(実は、将積にもHEYAZINE立ち上げのストーリーがある) そしてHPをつくる過程で、課題だった物件パトロール(=物件確認作業)を効率化するシステム「REcS(レックス)」が生まれた。

僕がHEYAZINEを作った理由 ~ イタンジ株式会社 取締役CTO 将積健士 - 賢い人の部屋さがし HEYAZINE

この時期に、僕は仲介事業の役割や、業界構造、物件流通の仕組みを真剣に考えた。このIT全盛の時代に、なぜか電話とFAXのやりとりが多いこの業界。物件確認などの作業コストに加え、コミュニケーションコストも異様に高い。おまけにあまりの効率の悪さに耐えかねて、大手企業から転職してきた優秀な社員が会社を去るという出来事まで起こってしまった。 そして考えていくうちに、ふと思った。「不動産流通の構造自体を変えないと、根本的な解決にはならないんじゃないか?」と。「情報の効率化を追求しただけでは、不動産業界は変わらないんじゃないか?」と。「効率的で使いやすいサイトをつくるだけでなく、不動産流通の構造自体を変えるような仕組みをつくらないと、不動産業界はいつまでたってもユーザの方を向かない。ユーザが求める物件と、紹介される物件との間にある“溝”が埋まらない。きっと今の日本には、新しい不動産流通のプラットフォームが必要なんだ」と、強く思った。

だからITで物件流通を効率化して、ユーザが欲しい情報にアクセスして、その結果、住みたい場所に住むことができる「適所適住」の世界を実現する仕組みをつくろうと思った。
それがHEYAZINEだ。

HEYAZINEをつくろうと決意してから、僕の環境も大きく変わった。2013年3月にHEYAZINEをリリースしてから、サービスの立ち上げに集中するために、5年間に渡って経営してきた仲介会社は社員に譲った。また、当時、外資系金融会社を退職して起業を考えていた千葉を口説いて、イタンジに入社してもらうことにした。2013年11月にはベンチャーキャピタルから3億円の資金調達をして、サービスの拡大に向け準備は整った。勝負はここからだ。

イタンジ、3億円の資金調達をしました - イタンジ社長 伊藤嘉盛のブログ

□不動産×IT×効率化=適所適住

「HEYAZINEで探せば、良い物件が見つかるよ」「新居を安く借りられるよ」

こんなふうに、ユーザから「探しやすさ」と「満足感」で選ばれる。僕はHEYAZINEを、そういうサイトにしたいと思っている。

たとえば僕たちがAmazonを利用するのは、別にAmazonが「無店舗販売でコストカットをしているから」でも、「巨大な倉庫で効率的に在庫管理をしているから」でもない。単純に、安くて便利だからAmazonを使う。そういうシンプルな理由だと思う。

だからHEYAZINEも、「良い物件が見つかるから」「初期費用が安くなるから」というシンプルな理由で、ユーザから選ばれるサイトにしたいと思っている。「仲介会社を経由していない」とか、「管理会社の物件を直接ユーザに紹介しているから」とか、そういう事情は、僕たちが知っていればいいことだ。

「適所適住」。これをユーザに提供するのが、HEYAZINEの役目だ。

不動産流通のイノベーション、“賃貸直販サイト”HEYAZINE

今日は私たちが運営するHEYAZINE(ヘヤジン)についてのエントリーです。
一般的な賃貸ポータルサイトと何が違うのか。また、どういうサイトなのかについて書きます。

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■不動産流通のイノベーション、“賃貸直販サイト”HEYAZINE

今回はHEYAZINEの本質を伝えるために、「不動産流通の構造」を説明しながら、その特徴について話そうと思う。とはいえ不動産流通の構造が、他の業界と比べて特別難しいわけではない。基本的には、一般的な商品流通と同じ構造をしている。だからカメラを購入予定のAさんを例にとりながら、簡単に説明していきたいと思う。

まず、ここに新しいカメラを購入予定のAさんがいるとする。
このときAさんが検討しているカメラは、

◆メーカー→卸売業者 → 小売店 → 消費者

という段階を経て、僕たちの元に届けられる。メーカーがつくったカメラを卸売業者が仕入れて、小売店に販売。そのカメラを小売店が消費者に売る、という構造だ。だから消費者のAさんは、小売店である家電量販店に行って、カメラを買おうと考えた。

それと同じで空室の賃貸物件も、

◆貸主(=メーカー)→ 管理会社(=卸売業者)→ 仲介会社(=小売店)→ ユーザー(=消費者)

という経路をたどって、僕たちの元に届く。「貸主」が持っている物件を「管理会社」が管理し、「仲介会社」が僕たちに紹介するという構造だ。だから僕たちは住みたい街の「不動産屋(=仲介会社)」に行って、空室の物件を紹介してもらう。

しかし最近では、メーカーや卸売業者がネットで商品を販売する、「ネット直販」なども広く知られるようになった。これは消費者がわざわざ小売店まで行かなくても、メーカーや卸売業者から、商品を直接ネットで注文できるという仕組みだ。しかも「小売店」を経由していないので、その分コストを削減でき、商品を安く購入できるというメリットがある。つまり「ネット直販」というスタイルを選べば、Aさんは家電量販店に行くよりも、安く効率的にカメラを入手することができる。

HEYAZINEは、不動産流通の仕組みの中で、まさにこの「ネット直販」を実現したサイトだ。「仲介会社」を経由せず、「貸主・管理会社」からの「直販物件」だけをユーザーに提供している。

■HEYAZINEの本質

Aさんはある日、カメラを買いに家電量販店に出かけた。買うからにはより良いものが欲しかったので、店を数件まわって検討した。しかしどの店に行っても、置いてある商品はほとんど同じ。どれを買えば良いのかわからなくなってしまい、結局その日はカメラを買わずに帰宅した。

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この「置いてある商品がほとんど同じ」という状態は、どの家電量販店も、同じメーカーの売れ筋商品を、同じような経路(各々が取引する卸売業者)を通して仕入れているから起こる。

そしてこの構造は、不動産業界にも当てはまる。不動産業界では、複数の「仲介会社」が競合しながら、“同じ”空室物件をユーザーに紹介している。入居者が「仲介会社」に行って物件を紹介してもらうと、「今申し込まないと、すぐに埋まっちゃいますよ」と言われるのはこのためだ。カメラを探し回ったAさんのように、部屋を探すときも、「複数の仲介会社をまわっても同じ物件を紹介される」という現象が起きてしまう。

また賃貸ポータルサイトにも、同様のことが言える。たとえば一般的な賃貸ポータルサイトは、

◆貸主→ 管理会社 → 仲介会社 →「賃貸ポータルサイト」→ ユーザー

という構造になっている。これは一般的な賃貸ポータルサイトが、複数の「仲介会社」の物件情報を集めて掲載していることを意味している。しかもここで問題なのは、「仲介会社」は“同じ”物件を他社と競合しながらユーザーへ紹介しているので、ポータルサイト内には“重複物件”が発生してしまうということだ。つまり一見物件数が多いように見えても、その中には重複物件が多数存在している。

一方HEYAZINEの構造は、

◆貸主・管理会社 →「HEYAZINE」→ ユーザー

という仕組みになっている。HEYAZINEの場合、掲載している物件の情報元は「管理会社」と「管理会社を兼ねた貸主」だ。仲介会社の「1物件×複数仲介」に対して、基本的には、管理会社は「1物件×1管理会社」の関係なので、サイト上に重複物件は殆ど存在しない。これが、HEYAZINEの仕組みと本質だ。

そして「仲介会社」を経由しないことで、正確で詳しい情報が素早く手に入ったり、契約から入居までの手続きがスムーズになったりする。また初期費用が安くなる場合もあるので、入居者に多くのメリットをもたらすサービスを提供することができる。

つまり賃貸ポータルサイトには、2つのタイプが存在する。1つは、物件の「数」で勝負しているサイト。もう1つは、数ではなく「質」で勝負しているサイト。HEYAZINEは、もちろん後者だ。

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後日。理想のカメラを探し回ったAさんは、結局直販サイトを使って、安いカメラを効率的に入手した。部屋探しでも、Aさんのように「直販」を実現できるサイトがある。それがHEYAZINEだ。

ベンチャーに入社が決まったら読むべき書籍5選

イタンジは昨年末から採用を本格的に始めて内定を順調に出しています。
内定した方から入社するまでにどんな本を読んで勉強すればよいかと聞かれることが多かったので、私が実際に推薦した書籍を紹介します。

 

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■ビジョナリー・カンパニー2(要約
ビジョナリー・カンパニーシリーズの中でも一番オススメは2です。「適切な人をバスに乗せる」「針鼠の概念」「弾み車の概念」などは経営者ブログで引用されることも多く、影響を受けている経営者は多いはずです。成果を上げるためには「必ず勝てるという確信を失ってはならない。ただし厳しく現実を直視すること」が必要とのことだが、まさにその通りです。

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

 

 

イノベーションのジレンマ
どうすればベンチャー企業が下剋上できるかを学べます。技術革新が速く、環境変化の激しい業界で生き抜くために、クリステンセンの理論は押さえておきたい。アマゾンでは、本書の続編である「イノベーションへの解 利益ある成長に向けて」が経営幹部の必読書になっているとのことです。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

 

イノベーションと企業家精神
原書初版が1985年にもかかわらず、今読んでもまったく違和感がないです。イノベーションを起こすことがベンチャーたる所以なので、基礎知識として読むべき一冊です。ちなみにビジョナリーカンパニーの著者ジム・コリンズもドラッカーに強い影響を受けています。

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)

 

 ■Yコンビネータ
スタートアップ企業が生まれては消えてく姿がリアルに描かれています。本書の中で語られるYコンビネータ創業者のグレハムの言葉は、顧客志向・リーンスタートアップ思考など、ベンチャーにおけるサービス開発で念頭に置くべき事項を教えてくれます。ちなみに、Yコンビネータの最大のモットーは「人が欲しがるものをつくれ」です。

Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

 

 

ジェフ・ベゾス果てなき野望
今では売上600億ドルを超えるアマゾンが零細ベンチャーだった時代から巨大企業に成長する過程が描かれています。買収相手を屈服させるために価格競争を仕掛けたり、競争相手のウォルマートから人材をごっそり引っ張ったり、ジェフ・ベゾスの経営手法の荒っぽさがうかがえます。目的達成のためには、周囲の抵抗があっても手を緩めず事を進めていくことが、時には必要だと気付かされます。

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

 


■最後に
 ベンチャーで働くことは楽しいことが多い分、苦しいことも多いと思います。自社の事業が合理的で正当性のあるサービスだとしてもクライアントやユーザから受け入れてもらえないことや、やるべきこと・やりたいことが山積みでもリソースが不足して前に進まないことなど、多くの困難が待ち受けています。でも、何か大きなことに挑戦をしているから、ベンチャーで働くのって「生きてる」感じがします。
最後になりますが、みなさんには、本日紹介した本を入社に向け心の準備をするために、また、壁にぶち当たってくじけそうな時に再び自らを奮い立たせるために読んでもらえたらと思います。

都内にマンションを買う時に読むべき書籍3冊

マンションは経年による価格下落リスクがあるので、購入タイミング、購入エリアなどによって成功と失敗が大きく分かれます。タイミングは相場を予測する必要があるため、最適解を見つけるのは難しい一方、新築・中古の判断はある程度正解はありますし、エリアに関しては書籍やネットで調査できるので念入りに調べることをおすすめします。

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■マンションは10年で買い替えなさい

アトラクターズラボの沖さんの書籍。不動産業界の方が読んでも、参考になる箇所があります。新築購入から10年間は「政府の住宅政策による税金メリットを享受できる」「大規模修繕のリスクを負わない」などの理由から10年で買い替えをすることを推奨している。坪単価が高い方が価格下落リスクが少ない、駅からのアクセスを重視するなど、各論も納得できる内容です。

マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく (朝日新書)

マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく (朝日新書)

 

 

 ■東京マンション資産価値予測

東京都内各エリアの土地柄、賃料・売買相場、地歴などがよくまとまっています。
発売から5年以上経っているため、一部内容が古いが、自分が住むエリアの基本情報を抑えるのには最適です。

東京マンション資産価値予測 DATA BOOK―エリア別データ2万件の定量分析による

東京マンション資産価値予測 DATA BOOK―エリア別データ2万件の定量分析による

 

 

■東京土地のグランプリ

東京の地位(ぢぐらい)をランキングで紹介しています。上記で紹介した東京マンション資産価値予測より、対象が人気のある特定エリアに絞られており、定性的内容が深堀されています。高級マンションを購入する場合は特に読んでおいた方がいいです。マンションのパンフレットは、所在地がどこにあろうが「プレミアム、最高、高台」のように高級そう感じるワードが使われているので、実際の地位がわかりにくい。パンフレットには「プレミアム」って書いてあるけど本当は「上の下」なんだ、とわかるようになります。注意点としては、スポンサーになっているディベロッパー会社の分譲予定地が本来より高く評価されています。

東京土地のグランプリ 2012-2013 最新版 (別冊セオリー)

東京土地のグランプリ 2012-2013 最新版 (別冊セオリー)

 

 

 

あなたの仕事は将来なくなるかも?未来に向け、今考えるべきことは

先月読んだハフィントンポストの記事が印象的でした。

「技術革新で仕事の5割が消滅」20年後の社会
これからの20年で現在のアメリカの雇用の50%以上がコンピューターに代替される | Social Design News【ソーシャル・デザイン 公式サイト】

この記事によると、今後20年で、今ある仕事のおよそ半分は、コンピューターによって自動化される可能性があるとのこと。

コンピュータに置き換えられる可能性の高い仕事TOP15は以下の通り。

680位 調達事務員
681位 パッケージング&充填機械オペレーター
682位 銅版画工と彫刻師
683位 受付、レジ係
684位 スポーツの審判
685位 保険鑑定士
686位 融資担当者
687位 オーダーを受けるスタッフ
688位 仲介スタッフ
689位 保険の集金者
690位 組み立てラインスタッフ
691位 データ入力者
692位 図書館技術者
693位 新規顧客アカウント作成スタッフ
694位 写真処理労働者及び加工機オペレーター

 

不動産業界で直接関係するのは、仲介スタッフとデータ入力者です。
私はセミナーで毎回、「タクシー業界とgoogleの自動運転、宅配業界とamazonの小型ヘリ配達のように、テクノロジによって一つの業界が吹き飛ぶ、大きなイノベーションが必ず不動産業界にもやってくる。」と言っています。今、すごく重要なことは自動化の領域を決める意思決定だと思います。

何を自動化すればいいのか?コンピュータと人間の違いについて、ドラッカーは「経営者の条件」で以下のように書いています。

 コンピュータの強みは論理的な機械であるところにある。それはプログラムに組まれたことを正確に行う。迅速かつ正確に行う。ということは、あくまでも愚鈍なるものとしてそれらの仕事を行うということである。論理はもともと愚かである。コンピュータは単純で明白なことしかできない。

これに対し、人は論理的ではない。知覚的である。ということは遅くていい加減だということである。しかし人は聡明であり洞察力がある。応用力がある。すなわち人は、不十分な情報から、あるいは情報なしでも、全体像がどのようなものであるかを推し量ることができる。プログラム化していないことを考えることができる。

私が不動産仲介業をやっていた頃、内見しても契約が取れない営業を「鍵を開ける人」、物件の提案力が無い営業を「チラシの印刷機」と揶揄しているのを聞いたことがあります。これは頭を使って付加価値を出さないと営業として駄目だよという教戒です。しかし、これから先は、頭を使っているだけではアルゴリズムに代替されるので駄目です。今や、ビッグデータ人工知能の進歩は目まぐるしいものがあります。コンピュータが学習すれば、ベテラン営業マンと同じ水準の提案ができます。

それは本当に人間がやる必要があるのか?自動化を阻むボトルネックは何か?
この問いが大切で、法規制など自動化の障壁を克服していくことが人間のやるべき仕事だと思います。これから先、知の巨人ドラッカーですら想像できなかった領域がコンピュータによって置き換えられていくのかもしれません。私も真剣に考えています。

事業を成功させるためには、ホップステップジャンプより垂直ジャンプ

今日は、目標達成のためにどのような経路をたどるべきか、について考えました。

結論を先に言いますと、私は最近、成功したら次のステージに挑戦するホップステップジャンプ型の打ち手はイケてないな、と思っています。

一般的には、Cという本丸の目標がある場合、A,B,Cというマイルストーンを設定して、Aが成功したらB、Bが成功したら本丸のCを成功させよう、というように考えます。これをホップステップジャンプ型の打ち手とでも呼びましょう。
たとえば、次のようなケース例です。

BtoB向けのサービスを開発しました。大きなビジネスにするために、最終的なターゲットは大手企業です。しかし、実績がないから大手企業には売り込みに行けず、まずは知人の会社に使ってもらい改善を重ねよう。試作品が出来たら、営業をしやすい中小企業に使ってもらい、利用実績をつくろう。中小企業の利用実績が十分に集まったら、大手企業に営業に行こう。

確かに現実的で、大手にいきなり営業を試みるより成功の確率が高そうに思えます。
私も実際にこのように考えて経営計画をつくっていました。

しかし、事業をやって思ったのは、ホップステップジャンプの思考だと、最終目標を完遂できない、あるいは、余計に時間が掛かるのでは、ということです。

なぜなら、各ステップの成功率の掛け合わせが、本丸を成功させる確率になってしまうからです。上の例でいえば、(知人の会社と協力して良いサービスを開発できる確率)×(中小企業が受け入れる確率)×(大手企業が受け入れる確立)の掛け合わせが成功の確率になります。ステップが増えれば増えるほど、成功までの時間が掛かるし(機会費用が大きい)、成功確率は下がっていきます。詳細まで予測されたシナリオほど予想が外れるのと同じ原理です。

また、ホップステップジャンプの打ち手で陥る失敗パターンとして、初期のステップで成功するために、初期ターゲットのニーズに合わせて製品を改善した結果、最終ターゲットのニーズとはかけ離れた製品になってしまうことがあります。考えてみれば当然だけど、中小企業に売れたからと言って大手企業に売れるとは限らない。

だから、打ち手としてイケてるのは最初から本丸に挑戦することです。
これは垂直ジャンプ型の打ち手とでも呼びましょう。
大手企業がターゲットの製品であれば、障壁が高そうでも最初から大手企業に売り込んで、無料でもいいから使ってもらって改善を重ねた方が、ホップステップジャンプより断然早いです。特に、スタートアップ企業ほど時間に迫られているから、垂直ジャンプの打ち手を採るべきだと思いました。

部屋探しの前にハッキリとさせておきたい3つの疑問

部屋探しのときに気になることや疑問があっても、うやむやのまま契約まで進んでしまうことってありますよね。賃貸で引っ越すのは生涯で1~2度程度ですし、不動産業界を経験していないとなかなか理解できない不動産取引特有の商習慣があるので、やむを得ないことだと思います。今回は、部屋探しの時に生じる疑問について、不動産業界経験者の視点から解説します。

 


①申込が入りそうですは本当か
内見をした後によく言われるセリフです。果たして「申込が入りそうです」という不動産屋さんの言葉は本当なのでしょうか。
これは、本当の場合もあるし、申込の意思決定をあおるためにいう場合もあります。不動産屋さんにあおられないためには、申込が入りそうな物件の内見はしない旨を伝えることです。さらに、内見を予定している物件の当日の内見予約数を事前に確認するとよいです。これら二つのことをするだけで、不動産屋さんに前もって釘をさすことになり、不動産屋さんは簡単には「申込が入りそうです」とは言えなくなります。
一方、本当に申込が入りそうな場合もマイペースを保つことが肝心です。物件を取られないように我先にと申込をしてしまうと、条件交渉のタイミングを逸してしまいます。このタイミングで不動産屋さんに交渉のイシニアチブを取られてしまうと、他に申込希望者がいることを理由に、なし崩し的に交渉を譲歩することになってしまいます。もう一方の申込者が条件交渉をしていないとは限らないので、申込が入ると聞いても焦らずきっちりと条件交渉をしましょう。

 

②上手な賃料交渉の方法は
ズバリ、多少ふっかけて交渉を始めることです。不動産取引の場合、最初の条件オファーより好条件で成約することはありません。もしも貸主側に5,000円の賃料交渉幅があったのにも関わらず、3,000円の賃料交渉からスタートしてしまうと最高の条件で入居することはできません。目安としては、賃料であれば5~7%程度の交渉からスタートしましょう。(家賃10万円の場合、5,000円程度の交渉から始める)不動産屋さんにこの条件だと難しいかもしれないと言われても、まずは大家さんに相談してみてください、とお願いしてみましょう。

 

③仲介手数料無料は本当にお得なのか
仲介手数料が無料になるケースは2つあります。ひとつは、管理会社や貸主から直接募集の依頼を受けている元付(モトヅケ)会社と直接取引した場合です。この場合、管理会社・元付会社は貸主から手数料をもらっているため、借主から手数料を取らないことがあります。
もう一つは、募集の大元ではない仲介会社に広告料という手数料が支払われるケースです。広告料とは、貸主または管理会社から仲介会社に支払われるインセンティブ・フィーのようなものです。この場合、仲介手数料は無料になるものの、広告料の原資は借主が支払う礼金であったり、毎月の家賃に上乗せされていたりするので、実は借主の経済的メリットは小さかったりします。
また、広告料が発生する物件を管理会社と直接契約すれば、広告料分が割安になり(礼金がゼロになったり、フリーレントがついたり)、さらに、仲介手数料が無料になる場合がありますので、「仲介手数料無料」がどちらのケースがよく確認をしましょう。
参考:出来る限り「大家に近い物件」を探す方法

以上、みなさんも不動産取引の仕組みや傾向を知って、上手に部屋探しをしましょう。